Wi-Fi 7とWi-Fi 6の違い
技術の進歩は加速しています。WiFi 6/6Eが正式にリリースされてから、まだそれほど時間が経っていません。しかしWiFi 7の話題も俄かに出てきています。WiFi 7は時期尚早なのでしょうか?WiFi 7は本当に必要なのか?何ができるのでしょうか?ここではWiFi 7とWiFi 6の違いについてご紹介します。
Wi-Fi 7とは
WiFi 7は、Extremely High Throughput(EHT)を謳う次世代WiFi規格で、別名802.11beとも呼ばれます。
WiFi 7は野心的なプロジェクトで、基盤となるPHY層(物理層)とMAC層にイノベーションを集中させています。PHY層については、320MHzの帯域幅・4K-QAM・Multi-RU・強化されたMU-MIMOを導入しています。ネットワークパフォーマンスの向上のため、WiFi 7はMLO(Multi-Link Operation)を用いてMAC層でのリンクアグリゲーションを可能にします。これらの革新的な技術により、WiFi 7はWiFi 6に比べてネットワークスループットの向上と、遅延の低減を可能にします。
Wi-Fiの歴史
802.11プロトコルの最初のバージョンは1997年にリリースされ、最大2Mbpsの速度を提供しました。最新の802.11axでは最大9.6Gbpsにまで向上し人気を博しています。
| プロトコル | WiFi | リリース | 理論値 | 
| 802.11 | / | 1997 | 最大2Mbps | 
| 802.11a/b/g | WiFi | 1999-2003 | 最大54Mbps | 
| 802.11n | WiFi 4 | 2009 | 最大600Mbps | 
| 802.11ac | WiFi 5 | 2013 | 最大6.9Gbps | 
| 802.11ax | WiFi 6/6E | 2019-2021 | 最大9.6Gbps | 
| 802.11be | WiFi 7 | 2024 | 最大46Gbps | 
Wi-Fi 7とWi-Fi 6の主な違い
| テクノロジー | WiFi 6 | WiFi 7 | 
| 規格 | IEEE 802.11ax | IEEE 802.11be | 
| 最大理論値 | ~9.6Gbps | ~46.1Gbps | 
| 対応バンド | 2.4GHz/5GHz/6GHz (WiFi 6E) | 2.4GHz/5GHz/6GHz | 
| チャンネル幅 | 20MHz/40MHz/80MHz 80+80MHz/160MHz | 最大320MHz | 
| 高次変調 | 
 OFDMA | 
 OFDMA | 
| 空間ストリーム数 | 8×8 UL/DL MU-MIMO | 16×16 UL/DL MU-MIMO | 
| セキュリティ | WPA3 | WPA3 | 
Wi-Fi 7の変更点
WiFi 7は、ほぼすべての面でアップグレードされており、WiFiのスループットはWiFi 6と比べて約5倍高速化しています。Connectedな世界を実現するため、WiFi 7ではPHY層とMAC層の両方で修正を定義しています。
- 最大320MHzの広帯域幅
6GHz帯の開放により、WiFiはより広く、空いている周波数帯を利用できるようになりました。WiFi 7の6GHz帯では320MHzの広帯域幅に対応し、WiFi 6の160MHzと比較して、2倍のスループットを実現しました。また、160+80MHzや160+160MHzといったnon-contiguous(非連続)の帯域幅にも対応しています。

- 4K-QAM
WiFi 7では変調を1024-QAMから4096-QAMに拡張しています。これは各変調シンボルが12bitのデータを伝送できることを意味し、4096-QAMは同じコーディングでWiFi 6の1024-QAMと比較して20%のレートアップを達成することができます。
- さらに進化したMU-MIMO
WiFi 7では、空間ストリームの数を8から16にアップグレードしています。これにより、理論上の物理的な伝送速度が2倍になりました。
- Multi-RUとパンクチャリング
WiFi 7では、より柔軟なリソースユニット(RU)の割り当て方法を導入しています。WiFi 6では、1人のユーザーには1つのRUしか割り当てられず、別のRUを割り当てることはできません。WiFi 7では、リソースの利用率を向上させるために、ノードに複数のRUを割り当てることができます。
Multi-RUはパンクチャリング技術により、占有されているチャンネルをマスクし、他の利用可能なチャンネルを使用してチャンネル利用率を向上させることができます。これにより規制で許可されていない周波数での送信を回避することができます。
- MLO(Multi-Link Operation)
MLOはMAC層でのリンクアグリゲーションを実現し、リンクをチャンネルとバンドにマッピングさせることができます。VR/ARから産業用IoTまで多くのアプリケーションに有効な高スループット・低遅延・高信頼性を提供することができます。

- Multi-AP
Multi-APとは、望ましいネットワーク性能目標を達成するために、APの直接調整に依存する機能の集合体を指します。複数のAPソリューションの様々な趣向が検討されています。例えば、C-OFDMA(coordinated OFDMA)・CSR(coordinated spatial reuse)・CBF(coordinated beamforming)・JXT(joint transmission)がMAC または PHY 層に適用される予定です。

WiFi 7について
320MHz:Wi-Fi7が持つ超ワイドチャンネルの価値とは?
 
             
             
             
             
            